銭湯ノスタルジー・世田谷・月見湯
家に風呂がなく銭湯育ちだったのであのムードが馴染みやすいってのもあるけど、私は銭湯がとても好き。それも温泉銭湯ならなおよろし。
世田谷というと、そこそこ有名な温泉施設はあって、アメニティは整い、使い勝手も良く、リゾート気分になれたりするんだろうけど、いかんせん、料金が高い。
千何百円とか2000円とか払って温泉なんてねぇ。そりゃ東京は諸々お金がかかるのは判るけど、温泉マニアだからこそバカ高い温泉に入るなんてゴメンなわけです。
月見湯
●温泉法上の温泉(メタケイ酸、鉄分含む 湧出温度16.5℃)
●450円(東京都銭湯料金) サウナ別料金
●15時半~24時 火休
●東京都世田谷区赤堤5-36-16 ℡.03-3321-6738
京王線下高井戸駅から日大通りという商店街を歩いて5分ほど。
右手に学校の鬱蒼とした生け垣が現れるところで右折。日大ラグビー部のなんとかいう建物の角でまた右折するとすぐに、「湯」という看板が見える。
日大通りはいろんな食べ物屋や洋服屋などがあり、昔ながらの豆腐屋さんなんかもあって、実にぬるくていい感じ。歩いてるだけでも和む。
そして、このお風呂屋さんのある路地あたりは、洗面器にお風呂道具を入れて歩いてくる町内の方々の姿も見られる。
かれこれ50年近い歴史があるというこの月見湯さん。
もともとは普通のお風呂屋さんだったのだが、10年ほど前に掘ってみたら、温泉法上、ちゃんと温泉と名乗れるお湯が出たのだそうだ。
それも、深さたったの150mというからラッキー! 今どきの関東の立ち寄り入浴施設のお湯はみんなその10倍くらい掘ってるでしょ。
ここ、さすがに黒湯ではないけれど、メタケイ酸を含んでるのでお肌がつるつるし、鉄分が血行をよくしてくれる、という、れっきとした効能付き。
昔ながらの宮造りの銭湯建築の前に、新しいエントランスをカポッとはめました、という感じの建物。中は小綺麗で居心地がよくて、憩いのスペースって感じなのだ。
下駄箱は昔ふうの木の鍵。
番台で料金を払う。その時のちょっとした言葉のやりとりなんかも嬉しいのだ。
ほらね、中に入ってみると天井が高くて、古いお湯屋さんそのままのテイストが残っている。
脱衣場は空調が効いてて気持ちいい。ちょっとした休息スペースもある。
ドライヤーは有料で、普通の手持ちのものと、お釜式のものがあった。
ここ、15時半から営業ってことになってるが、私が着いたのはその15分前。でも既に開いていて、先客さんも3人ほどいた。一番風呂の先陣争いとか、あるのかな(笑)
銭湯の並び行列、私も何度か参加したことあるけれど、暖簾のかかる瞬間をジリジリ待つのも楽しいものなんだ。
浴室にはカランが20基ほどと、シャワーブースが2ヶ所。適温の温泉浴槽と、コンパクトにまとまったジェット風呂や電気風呂などの変わり湯浴槽、そして源泉水風呂。
お約束の銭湯の壁絵は、定番の富士山だった。男女浴室をまたいで描かれていて、女湯のほうには飛脚さんが描かれていたよ。
温泉といっても成分は薄め。循環してるせいか色もやや黄褐色って程度のあっさりしたお湯だ。でも、とろみは少し感じられる。湯温は40℃くらいのぬるめに管理されていた。
この時は鉄分はあまり感じなかったけど、時々日によって鉄味の強い場合もあるんだとか。自然のなせる技ですなぁ。
ここは源泉水風呂もあって嬉しい。適温浴槽より湯の色が濃くて、ごくほんのりと鉄臭もする。夏なので、冷温交互浴は「冷」のほうを長めに。んんーー、たまらなく気持ちいいんであーる。
脱衣場の片隅に、古い銭湯である印のような、脱衣カゴが。
そうそう、昔はこういう脱衣カゴが銭湯の定番だった。
なんか懐かしいわぁー。
今は銭湯経営も難しい時代だと思うけど、ここは頑張ってるなぁという雰囲気だし、愛されているようで、なにより。高井戸界隈の人は幸せだと思います。
温泉名:月見湯温泉 入湯日:2008.8.9
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コメント
今日は真面目に。
先日の日本経済新聞に銭湯の入浴料金が1946年施行の物価統制令なる法律で価格統制されているとの記事がでていた。銭湯は現在、全国に約6300あるとのこと。各都道府県は毎年、様々な調査をし、学識経験者等の意見を聞いて料金の上限を決めているとのこと。今ではこの法律に基づいて価格統制しているのは銭湯の入浴料だけ。こんな法律があること自体疑問だす。
暇だから、全国の入浴料を調べたら最安値は佐賀県の280円
最高はもちろん東京都と神奈川の450円。全体に東高西低。
寒いところほど燃料代もかさむからしょうないだろう。
数十年前、東京の大学に遊学中、入学時は確か38円、卒業時は55円だった、記憶がある。
そうしてみると別府の温泉は安い。
投稿: トリニータ温泉 | 2008年8月13日 (水曜日) 12時18分
>トリニータ温泉さん
サウナなし変わり風呂なしの銭湯も、スパ銭並みの設備を誇る銭湯も、同じ料金ってのも不思議ってば不思議ですね。
黒湯ってだいたい冷鉱泉ですから湧かすのも燃料がかかるし、料金均一制を廃止したらどうなりますかねぇ。
やはり、湧かさなくても掘らなくても、「こんぬつは~」と自噴してくる別府や青森や鹿児島や甲府やもろもろの温泉地が羨ましいっす。
投稿: アイアン | 2008年8月14日 (木曜日) 21時21分