笑う妻有~大地の芸術祭2
妻有に何回か行ってると言うと、「気に入った作品を幾つか教えてください」と聞かれるんだけど、これがけっこう迷う。
あれも好き、これも好き。
聞かれるたびにそれがコロコロ変わるんだ。
でも、パッと思い浮かぶのは、ハッピーなものが多いかな。
中でも、松代の山奥にある、「Bank ART妻有 桐山の家」。みかんぐみという建築ユニットとBank ARTが組んだ空き屋プロジェクト。
人が住まなくなった古民家を軽やかに楽しく自分たちの世界に変えていく感じが、なんともステキで大好きだ。
「すけすけ風呂」って、ねぇ(^_^;)
こういう、人をくった楽しいモノが散りばめられた家の中には、古布で作ったゾウさんがしどけなく昼寝してました~。
2階にいたら、下の土間で、「お客さんが増えてきましたので、ここでパフォーマンスやりま~す」という声がかかる。
見下ろすと、土間に置かれた自転車にスタッフがまたがり……ぐるぐるぐるぐる、ペダルを漕ぐと、アラ不思議、後ろの荷台にはかき氷機が装着され、自転車の動力でみるみるかき氷が出来上がっていく~。
そして、シロップをかけてその場に居合わせた客一同で涼しくいただきましたとさ。
かき氷といえば、中里公民館・貝野分館の富永敏博「かき氷マウンテン」!
地域の子供たちと、冬期間、雪山をたくさん作って、色とりどりのホンモノのシロップをかけて、リアルかき氷を作っちゃう、という、“その発想はなかったわ~”な作品。
いやはや、ビデオの中では子供たちが本当に雪山かき氷を舐めております。
厳しい冬だけど、アノラック、長靴、プラスチックのスコップやソリ、そしてかき氷マウンテン、何もかもがカラフルで楽しい。
ここは土日にはかき氷を振る舞われるらしいよ。
松之山黒倉という山奥の集落深く入って行くと、怪しげな看板があり、怪しげな水晶玉が出迎えてくれ、普通の古民家があり、そして…
なんとも奇怪なマシーンが。
ハンドルをグルグル回してみると、大きなガラス玉が家の中から外へとめぐらされたレールの上を走り始める。ごろごろと。レールは家の中を走り、外に出たり、中に入ったり、いろんなモノを映しながら、ゴロゴロゴロゴロ…。
題して、中里繪魯洲「黒倉たまさか庵 ゆく玉 くる玉」。
ひっじょーーーーに怪しげな空間の、楽しい仕掛け。
玉がレールを走ってる のが分かるかな?
先月はここで、ジンバブエの伝統楽器による舞踏イベントもあったそうだ。うひょーーー。
しかしなんといっても愉快だったのが、松之山上蝦池の大成哲雄+竹内美紀子「上蝦池名画館」。
農家の納屋の1階は、地域の農作物や手作り品が並べられた、よくある無人市(大好物のミョウガをどっちゃりかったよ~)。
しかし、階段を登って2階に行くと、そこには、
ななななんと、世界じゅうの古今の名作絵画がぁぁ!
ゴッホでしょ、ルノアールでしょ、ムンクでしょ、ダビンチでしょ、ゴーギャンでしょ、レンブラントでしょ。
…んなわけないですね。つまり、こういうことであります。↓
フェルメールの「牛乳を注ぐ女」
ではなく、「どぶろく?を注ぐ上蝦池のおっかさん」というわけ。
(これは2階に飾られたものではなく、1階に置かれたデモンストレーションです。さすがに展示室で写メをカシャカシャは出来ませんて)
古今の名画と、地域の人たちの暮らしの写真とを重ね合わせて再現させてみせた、心の底からハッピーになるような名画館でありました。
いやぁ、ムンクの「叫び」は思わず大爆笑だったよ。
「キリストを抱く聖母マリア」は、写真のほうが感動的に美しかった、と確信する。
ここはまた行きたいな。秋の部もやってるといいなぁ。

楽しい気分といえば、こちらも。
十日町水沢市ノ沢にある、斉藤健+黒澤清高「みんなのくさむら」。
ここは、私たち人間のための“草むら”なんだって。
この“草むら”の中で私たちは虫の気分になったり、お堂の傍らに並ぶお地蔵さま を眺めたり、音楽を聴いたりできるのだ。
ここに座って、うちの人とあれやこれやお喋りをした。
『定年退職したら、自転車でヨーロッパを旅行したいなぁ…』、『私はその間、別府で湯めぐりするからどーぞどーぞ行ってらっさーい』などなど(殴)
豊かな自然の中でモダンアートに触れる楽しさってのは、“まみれる”愉しさ。
こういうのがたくさんあるから、行かずにはいられないんだよね。
いやはや、すっかり大地の芸術祭中毒です。
レポ・1、3、4、5、6、7、8、9
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