ウォーターフロント・水と土の芸術祭6
今さらながら、みずっちの話。
文字通り水と土に関する芸術祭だから水辺の作品が多いのは必然なんだけど、水の側にいると気持ちが落ち着くのはなんでだろうね。
秋葉区秋葉丘陵の秋葉湖に浮かべられたものは、宮城大学 千葉・竹内・平岡ゼミ「お祈りプロジェクト」の一部。
周辺住民の祈りの対象となるものを集めて、「水」と「土」に奉納したというもの。
「水」=湖に供えられたものは稲。浮島に稲穂が育っている。
「土」は秋葉神社内。神社に続く勾配のきつい長い階段をのぼって、さらに坂を歩くと脇道があり、そこに神秘的なお祈りの場がしつらえられている。
このお祈りプロジェクトの近くには、前田哲明「水と土の記憶」もあった。
苔むした球、ステンレスの球が無造作に配置された場所。土と水とか、自然と人工物とか、古いものと新しいものが混ざり合っている。
ピッカピカのステンレスの球に自分が映って、単純に楽しいんだよね~。これはまだずっと展示されます。
秋葉丘陵に足を踏み入れたのは子供の頃に遠足で来て以来。山に住宅地が入り込んでいるんだね。
ひたすら平べったい土地に暮らしてる私にとっては何故?って思うんだけど、ここに暮らすことが住民の方々の喜びであり誇りであるのかも。
そんな気になった。
北区・十二潟の磯辺行久「阿賀野川はここを蛇行していた」。栗の木川排水機場の作品や新潟市美術館での「土のオベリスク」や大地の芸術祭でもお馴染みの磯辺さんの再現プロジェクト。
かつて暴れ川だった阿賀野川が作り出した三日月湖である十二潟を中川仲一さんの木舟(この写真は佐潟での木舟)を運行させて往時を再現するのだそうだ。絶滅危惧種の水草たちがあまりにも美しい。こんな綺麗な場所が新潟市内にあるなんて、この芸術祭でもなけりゃ知らずにいたかも。
磯辺さんのプロジェクトは他にも、西蒲区鎧潟の「ここに鎧潟ありき。」
干拓されて姿を消し、地名だけが残る鎧潟の輪郭を、黄色い旗をたてることによってよみがえらせる。それをゴミ焼却場の展望室から見るのだ。水があることの意味や、水を制してきた人間の知恵に思いを馳せた。
さてさて、磯辺さん作品はまだあった。みずっちでは全部で5作品だよ!
秋葉区・新津美術館の「水のラビリンス」。
広いフロアに新潟市全図。この上は歩くことができる。地図上に置かれたペットボトルには、その土地の水が採取されている。右写真のは秋葉区朝日のもの。うう~ん朝日といえば、さつき野駅前にあった今は無き「めぐみの湯」の温泉の湧出地! そそる~。
同じく新津美術館前庭の高田洋一「水の声」は水琴窟。白い家の中に入ると、天井が水玉模様のように円い穴があいていて、そこから陽射しや木の葉の影などが建物内に写りこむ。水琴窟の澄んだ深い音を聞きながら過ごす時間は極上だ。
この作品はこの先もずっと設置されているので、新津美術館に行ったらぜひ。
水辺の作品3題。
左のは中央区・鳥屋野潟湖畔の松宮喜代勝「地球と握手‐とやの潟の呼吸」。松宮さんの地球と握手シリーズだ。赤いモノは地球から噴出するエネルギーですって。その根元に無数に貼り付けられたものは粘土で、人々が地球(粘土)と握手した記録。ちなみに私のお散歩コースの折り返し地点でもある。これはずっとここに残るらしい。
真ん中のは西区・新川斜面緑地の霜鳥健二・内田玉延「水と土と」。昔は内野金蔵坂と呼ばれた場所で、ここはゆくゆく公園に整備されるとか。鉄と土を使って、水と土の象形文字を表現してるそうだ。この新川沿いで、なんと朱鷺を目撃したよ! 私の2009年重大ニュースの1つだ。
右の緑の球体は、秋葉区・一之堰の渡部彦夫「優しさ‐マザーラブ」。能代川分流記念公園という川に挟まれた土地に置かれたこのオブジェ。渡部さんは白根鷲ノ木の三川合流地点にも「未来」 という作品を展示してるけど、どちらも川を合流・分流させ水と闘った歴史を持つ場所。マザーラブはなんつーか、マザーなんだな~。マザーってこういう感じなんだろな~。
ウォーターフロントな企画作品としては、中央区・歴史博物館内、旧新潟税関の堀で繰り広げられた日比野克彦「THE SEEDS TRIP 横浜→新潟」。みずっちや大地の芸術祭をはじめ全国各地で行われている日比野さんの明後日朝顔プロジェクトで出来た朝顔のタネを集積するフネが入港。そこで短い寸劇が披露された。
これに先だって、新潟国体で来新された皇太子殿下が堀に浮かべられたフネをご覧になって市長に尋ねられたところ、「日比野克彦さんの作品です」、「あのヒビノさん?」、「そうです、あのヒビノさんです」という会話が繰り広げられたとか。これは寸劇の前の篠田市長のスピーチで聞いたよ。
右2つは、中央区・柳都大橋下流で行われた北澤潤「浮島プロジェクト」の跡。このプロジェクト期間中は見てないのだけど、橋の下流に台船を“浮島”として繋留し、そこで土や藁の家を作り、灯台をしつらえ、畑まで作って1ヶ月半暮らすプロジェクト。期間が終わった後はやすらぎ堤に浮島で使われたベンチとむしろとわらじが残された。このベンチに腰掛けて、浮島での写真日記が閲覧できるようになっていた。なんか、しものおかみさんがたが足繁く集って食材や料理を差し入れたり、パーティがあったり、濃いぃ交流があったみたい。
あともう1つ、鈴木勲「新潟‐水の旅」というプロジェクトが行われていた。
ご老人が使っている電動カートってあるでしょ。あれの後ろに小さな水力発電機&風力発電機をくっつけて新潟市全土を旅するプロジェクト。どんな細い用水路でも水のあるところに発電機を設置して電気を溜めては、電動カートとパソコン、携帯を充電しつつ1ヶ月あまりの旅。電池が切れれば自力でカートを押し、時には野宿、その様子は鈴木さんのブログで伝え続けられた。09年7~8月のログをどうぞ。読みごたえがあってばか面白い(=BEN)です。
プロジェクトついでに、ウォーターフロントとは関係ないけど、江南区亀田商店街の村木薫「亀田本町通り周辺における土と植物による修景プロジェクト」。シャッター街になりつつある亀田商店街だけど、アーケードや商店の外壁を徐々に木や土で修景していこうという計画。村木さんは大地の芸術祭で松代の商店街も手がけているよね。
写真は諏訪神社。安田瓦の土で焼かれた植木鉢に花キャベツが育てられ、それが亀田本町通り周辺の家々の軒先に飾られているのだ。
亀田は好きでよく行くけど、この先どう変わっていくのか今後とも楽しみだ。
というわけで、みずっちレポ、まだ続きます(笑)
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