「ウェディングベルを鳴らせ!」「チェチェンへ」「ネオ・ファンタジア」・にいがた国際映画祭
今年は5本しか見なかったにいがた国際映画祭。
自分の記録として、3本まとめて書き留めておこう。
お待ちかねのセルビア映画、クストリッツァ監督の「ウェディングベルを鳴らせ!」は弾けまくったドタバタラブコメディ。
写真の通り、年端もいかぬ少年(でも16歳)とイロっぽいおねーちゃん(動いてると黒谷由香似)がカポーになる話ですよ。いろいろムチャクチャな映画だ。
しかも、ピクシーが絶賛してるし。
しっかし、この映画のアゲアゲっぷりはハンパなかった。クストリッツァ史上最高に脳天気なんじゃなかろか。全作品見たわけじゃないけど。とにかく疾走感が尋常じゃないわ。相変わらずウンザウンザなバルカンパンクミュージックも騒々しく、ラストの大団円への坂を一気に駆け上がる。
昔は「シティロード」を手に1日5本の映画を見ることもザラにあったが、今は2本続けて見るなんてとんでもない、というていたらく。アタマもカラダも弱々。
でも、この「ウェディング…」があまりに面白くてスカッときたので、調子に乗ってもう1本見ることに。それが、これ。ロシアのソクーロフ監督作「チェチェンへ/アレクサンドラの旅」。
おばあちゃまが、将校である孫のいるロシア軍の駐屯地を訪れる話。こういう家族による前線基地訪問って、ロシアではよくあることなんだそうだが、チェチェンって相当ヤバいエリアなんじゃ…?
しかし映画では一切戦闘シーンも爆撃シーンも出てこない。がれきになった建物がたまに出てくるだけだ。このおばあちゃん(演じているのはソプラノ歌手で、ロストロポーヴィチの奥さんなんだって!)は基地から外に出て地元の市場にお買い物にすら行く。頑として口をきかないチェチェン人の青年がいる一方で、市場のおばちゃんは親切で人情たっぷり。仲良しにさえなってしまう。
…と書くと、浮世離れしたほのぼの物語に思えるけど、そこはソクーロフなんで、あり得る限りギリギリの静寂さで、情緒的なものを一切排し淡々と描いて、かえって不毛な紛争というか戦争の存在感を浮き上がらせる。あぁ、恐かった。
昔のアニメ作品も見た。
イタリアのブルーノ・ボツェットという人の「ネオ・ファンタジア」。原題は「アレグロ・ノン・トロッポ」。
ディズニー映画の「ファンタジア」へのアンサーというかパロディというか、クラシックの名曲とアニメ映像の合体したものなんだけど、短篇アニメ部分はエロかったりグロかったり不条理だったりして面白かった。なんだか、同じイタリアのマジックリアリズム小説家ディーノ・ブツァーティの世界観とかぶる感じがした。
写真のにゃんこの出てくる短篇は他のアニメシークェンスと比べて全く別物ってくらい可愛くて悲しかったなぁ。
でも、つなぎの実写部分がものっすごいスベリっぷりで、寒すぎだよ。フェリーニ風味だけどイラッときた。あれは昔見てたら面白がれたんだろうか? そういや、イタリア映画ってぇとほのぼのコメディは見たことあるけど、スラップスティック系って見たことない気がする。
映画祭のある2月は楽しいな。
やっぱり、人はサッカーのみにて生きるにあらず、だよ。
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コメント
つなぎの実写部分がものっすごいスベリっぷりで、寒すぎだよ。フェリーニ風味だけどイラッときた。
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実写部はフェリーに本人が撮ってます
投稿: | 2010年4月 7日 (水曜日) 09時18分
>映画好きの名無しさん
ご教授どうもです!
あのキモい感じのスベリっぷりは御大みずからでしたか。
投稿: アイアン | 2010年4月 7日 (水曜日) 22時26分